OTA手数料に頼り続けていいですか?
地方ホテルが評価制度で直予約比率を20%台に引き上げた理由
「会議でToDo事項を決めても、次の会議では何も進んでいない。マネージャーに任せても、指示を待つだけで自分からは動かない——そんな状況に悩んでいませんか?」
地方の旅館・ホテルを経営していると、こんな悩みが積み重なっていきます。
- 管理職が自分の頭で考えず、指示待ちになっている
- OTAのクーポン頼みで、直予約がなかなか増えない
- 会議でToDo事項を決めても、やりきれない
- 人材不足で、改善に着手する余裕すら生まれない
200社以上のMEO対策、10社以上のホテルコンサルを手がけてきた経験から断言できます。直予約比率が15〜20%台で安定している施設には、必ずスタッフが「何のために・どう動けば評価されるか」を理解している組織文化があります。
この記事では、評価制度の導入が上記の課題を同時に解決する理由と、すぐに使える評価の考え方を解説します。
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1. なぜ地方ホテルの管理職は「自分で考えない」のか
「うちのマネージャーは、言われたことしかやらない」
「何か問題が起きても、自分で解決しようとせず、すぐ相談にくる」
こんな声を、コンサルの現場で何度も聞いてきました。では、なぜ管理職は自分の頭で考えないのでしょうか。答えはシンプルです。
【根本原因】評価制度がないから、動く理由がない
評価制度がない、もしくは頑張っても頑張らなくても給料が変わらない——この構造的な問題が、「なんとなく無難に過ごす」のが最も合理的な行動にしてしまっています。これは個人の問題ではなく、仕組みの問題です。
考えてみてください。もし自分が「全力で動いても、手を抜いても、給与も評価も一切変わらない」職場にいたとしたら、どう行動しますか?
多くの人は、無意識のうちに「ほどほどに、目立たず、失敗しないよう」動き始めます。それは個人の怠慢ではなく、評価制度のない組織が生み出す、極めて合理的な行動です。
「言われたことをやる文化」が根付く構造
評価の軸がないと、管理職にとって最も安全な行動は「上の指示に従うこと」になります。自ら考えて動いてミスをするより、指示を待ってから動いたほうがリスクが低い——この歪んだインセンティブが、「指示待ち文化」を組織全体に定着させます。
特に地方の施設では、長年同じメンバーで運営してきた慣習が強く、「これまでずっとこうだったから」という慣性が働きやすい傾向があります。
評価制度の有無で組織はどう変わるか
| 比較軸 | 評価制度なし | 評価制度あり |
|---|---|---|
| 行動の基準 | 「指示に従う」が最適解 | 「何をすれば評価されるか」が明確 |
| モチベーション | 頑張っても給料が変わらない | 成果・行動が処遇に反映される |
| 問題への対応 | 指示を待つ・報告するだけ | 自ら考え、解決策を提案できる |
| 組織の方向性 | バラバラ・属人的 | 評価軸で方向性が統一される |
2. OTA依存のコストは、雇われ従業員には理解できない
「OTA手数料が高い」という話をすると、経営者はすぐに反応します。でも現場のスタッフやマネージャーはどうでしょうか。
【なぜ従業員はOTAコストを意識できないのか】
OTAから獲得した予約と直接予約の間に、何万円もの手数料差があることを知ったとしても——それによってスタッフの給料が変わるわけではありません。知識としては理解できても、「自分が動く理由」にはなりにくいのです。
これは従業員の意識が低いのではなく、当然の心理です。人は「自分の行動が評価・報酬に結びついていない」と感じると、その領域への関心を失います。
だからこそ、評価制度の中に「直予約比率」や「OTA手数料への意識」を評価軸として組み込むことが必要なのです。
OTA手数料は「見えにくいコスト」だからこそ危険
OTA手数料は客室売上から自動的に差し引かれるため、現金で支払うコストと比べて実感が薄くなります。「まあ、予約が入っているから良い」という感覚が現場に広がりやすいのです。実際の数字で見てみましょう。
| 客室単価(1泊) | 20,000 円 |
| OTA手数料(15%) | ▲ 3,000 円 |
| OTA経由の実質売上 | 17,000 円 |
| 直予約の実質売上 | 20,000 円 |
| 1予約あたりの差額 | 3,000 円 |
月に100室OTA経由で販売しているとすれば、それだけで月30万円・年間360万円の手数料コストが発生しています。さらにOTAが提供するクーポンやポイント還元施策に頼れば、実質的な手数料率はさらに上昇します。
「クーポン依存」からの脱却こそ、経営の安定への道
OTAのクーポン・ポイント施策は、短期的に予約数を増やす効果はあります。しかし、それは「OTAプラットフォームへの依存度を高める」施策でもあります。
直予約比率を高めることは、単なるコスト削減ではありません。顧客との直接的な関係を構築し、リピーター獲得につながる、中長期的な経営の安定化戦略です。そしてそれを実現するには、現場スタッフが「直予約を増やすことが自分の評価に関わる」と理解できる——評価制度に裏付けされた組織文化が必要です。
3. 「評価制度なし」が生む5つの経営リスク
評価制度がないことは、単に「スタッフのやる気が出ない」という問題ではありません。経営上の重大なリスクを生み出しています。
指示待ちが常態化し、経営者がすべての意思決定を抱え込む構造になる。経営者の時間と思考力が奪われ、中長期的な戦略に集中できなくなる。
収益改善のモチベーションが組織に生まれない。評価制度がなければ、誰もOTA手数料コストを「自分ごと」として意識しない。
「やった感」だけで何も変わらない会議が繰り返される。評価がなければToDoをやりきるインセンティブがなく、PDCAが回らない。
「頑張っても評価されない」という不満から、モチベーションの高い優秀なスタッフほど辞めていく。残るのは指示待ちに慣れたスタッフだけになっていく。
地方の人材不足は深刻化している。評価・成長・処遇の仕組みが見えない施設には求職者が集まらない。採用競争に勝てなくなる。
4. 解決策——管理職にはコンピテンシー評価を
管理職の評価は、「売上を達成したかどうか」だけで測ってはいけません。地方ホテルの管理職に求められるのは、数字の達成と同時に「どのように考え、チームを動かしたか」というプロセスの評価です。これを実現するのが「コンピテンシー評価」です。
コンピテンシー評価とは?
「何を成果として出したか(結果)」だけでなく、「どのように考え・行動したか(プロセス・思考)」を評価軸に加える手法です。短期的な結果だけでなく、組織を持続的に強くする人材を見極め・育成することができます。
【ポイント】評価軸を明示するだけで行動が変わる
「何をすれば評価されるか」が管理職に伝わると、それだけで行動が変わり始めます。管理職の変化は、現場スタッフの変化に直結します。
ホテル・旅館向け 管理職評価の5軸
| # | 評価軸 | 評価のポイント |
|---|---|---|
| ① | 戦略・経営思考 | 直予約比率・OTAコスト・RevPARを自分ごととして捉え、改善策を提案できるか |
| ② | マネジメント・組織運営 | ToDo管理・会議の実行・部下の育成が機能しているか |
| ③ | 顧客サービス・品質管理 | 口コミ分析・サービス基準の整備を主体的に行えているか |
| ④ | 人材確保・定着 | 採用改善・職場環境向上に積極的に関与しているか |
| ⑤ | 自律・問題解決 | 指示待ちでなく、課題を自ら発見・解決できているか |
5. 一般職スタッフへの評価制度——「やって当たり前」から「やりがい」へ
管理職だけに評価制度を導入しても、現場は変わりません。フロント・客室・料飲など、お客様と直接接するスタッフにも評価の軸を持たせることが重要です。
一般職スタッフ評価の5軸
| # | 評価軸 | 特に重視するポイント |
|---|---|---|
| ① | 接客・ホスピタリティ | 第一印象・クレーム対応・お客様への傾聴力 |
| ② | 業務スキル・知識 | 担当業務の習熟度・直予約への自然な誘導力 |
| ③ | チームワーク・協調性 | 他スタッフへのサポート・適切な報連相 |
| ④ | 主体性・成長意欲 | 業務改善の提案・研修を活かした自己成長 |
| ⑤ | 規律・基本行動 | 出退勤管理・接客基準・ルールの遵守 |
【注目ポイント】「直予約誘導力」を評価項目に組み込む
②業務スキルの評価項目に「OTAと直予約の違いを理解し、お客様へ自然に直予約のメリットを案内できるか」を組み込みます。これにより、現場スタッフが直予約を「自分の評価に関わること」として意識するようになります。
知識として知っているだけでは行動は変わりません。評価に紐づくから、人は動くのです。
6. 評価制度の導入ステップ
「評価制度を導入したい」と思っても、一気にやろうとすると失敗します。組織の規模・文化に合わせた段階的な導入が成功の鍵です。
- 評価シートの作成・施設に合わせたカスタマイズ
- 評価者(管理職)向けのトレーニング実施
- 評価の目的・ルールをスタッフ全員に説明
- まず管理職評価のみで試運転(一般職はまだ行わない)
- 評価面談のやり方を評価者が体験・習得する
- スタッフのフィードバックをもとに評価シートを修正
- 一般職スタッフ評価も開始(全員対象)
- 評価結果を処遇(給与・昇格)に連動させる
- 半期ごとのPDCAサイクルを組織に定着させる
【重要】評価制度は「作っておしまい」ではない
運用を継続させるためには、経営者自身がコミットし、評価面談を「儀式」にしないことが重要です。スタッフが「評価が自分の行動を変えた」と実感するまで、根気強く続けてください。
7. 直予約比率が安定した施設の共通点
コンサルを通じて、直予約比率15〜20%台を安定して維持している施設には、明確な共通点があります。
- 管理職が「OTA手数料コスト」を自分ごととして語れる
- 現場スタッフが直予約誘導の意味を理解し、自然に案内できている
- 評価・目標設定のサイクルが機能しており、改善が途切れない
これらはすべて、評価制度によって「直予約比率向上」が個人の評価に結びついている組織にしか実現できないことです。
よくある質問
まとめ
この記事でお伝えしたポイントを振り返ります。
| ① | 管理職が自分で考えない根本原因は「評価制度の欠如」と「頑張っても給料が変わらない構造」にある |
| ② | OTAコストを従業員が自分ごとにできないのは意識の問題ではなく、評価に連動していないから |
| ③ | 評価制度がないことは5つの経営リスクを生む(思考停止・OTA依存・会議形骸化・人材流出・採用難) |
| ④ | 管理職にはコンピテンシー評価(5軸)、一般職には接客・業務・主体性等の評価(5軸)を導入する |
| ⑤ | 段階的な3ステップで導入し、経営者のコミットが成否を分ける |
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